2007年07月12日
★リトル・シャーリー・ビーンズを探して
J.D.サリンジャー「ライ麦畑でつかまえて」の中で、
ホールデンが妹のフィービーにおみやげとして「リトル・シャーリー・ビーンズ」という
題名のレコードを買うのだが、酔っ払って壊してしまう。
「あのね、君にレコードを一枚買ってあげたんだよ。」といって
オーバーのポケットから取り出した「かけら」を見たフィービーは
「そのかけらをちょうだい」「あたし、しまっておくわ」
といって引き出しのなかにしまった。
・・とてもよいシーンである。またこれは象徴的なシーンでもある。
学校を退学になってしまったホールデンと割れたレコードは重なるのである。それでもそれを受容してくれるのはやはり肉親なのだ。暖かく優しい気持ちになれる。ほっとする美しいシーンだ。
この「リトル・シャーリー・ビーンズ」というレコード、本文中ではエステル・フレッチャーという歌手が歌った「前歯が抜けて恥ずかしがって家からでない女の子の事」を歌った古くてレアなレコードということなのだが、どうも実在のレコードではないみたいだ。
一応「Little Shirley Beans」で検索をかけてみたが、Little Shirley Beans Records というNYのインディーレーベルが見つかるかサリンジャー関係のサイトかどちらかで、やはり実在はしないみたいである。エステル・フレッチャーに関しても手がかりはなかった。
「ライ麦~」には固有名詞がたくさん出てくるが実在するものと実在しないものが混在しておりそこが作品を読み解く上での魅力の一つになってるらしい。
・・・・ところが、「割れたレコード」で検索してみたら、意外なものが見つかった。
「ライ麦畑のミステリー」という本
http://www.serica.co.jp/264.htm
その中に気になる記述が・・・
第一章 割れたレコードの救い方
あのレコードは実在していた/レコードの改変されたタイトルに秘められた意味/あの歌手の名前は、フランス語の疑問文/
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